Rinda-Ring Lv2−3 やってきましたトルデッテ |
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と……いうわけで。 やって来ました、トルデッテ町! 「わああ、なんだか可愛い町だねぇー」 なんて盛り上がってしまうのも無理はなかろう。この町は赤と緑の色彩のレンガでできあがった円屋根の町だった。とてつもなく、可愛い。ところどころに立つ看板にリボンがつけられている。 疲労困憊してたことも忘れてしばしきょろきょろする。 「サラッチてばおのぼりさん丸出しィ、なんて言ったらしばき倒すわよ?」 「よ、読まないでェ」 道をゆくひとたちは冒険者よりも町の人の方が多いみたい。あれは錬金術師……だろうか。モノクルをつけて黒いマント、金色のバッチをつけた人たちがけっこういる。 「トルデッテ町は錬金術師第二の都と言われているんですぅ。あんまりレベルの高くない錬金術師さんが多いんですが……いろんな発明品があって、それらはガラハドール通りの出店などで取り引きされています。えっと、錬金術師が売ってるアイテムは特殊なものが多くて……損をするも得をするも、売り手の運次第と言われてます」 「シロウ、あんたは手を出さないでね」 「………分かった……」 しーんとしてる。可哀相だけど、仕方ない。狙ったようにトラップに引っかかる者にギャンブルはさせられない。 「この町のマップは入り口の……あ、あの看板ですー」 カンナがぴょこたんぴょこたん飛んでいくのについていった。 町のマップをゲットする。えーと、この町ってたぶんギムダよりも小さいんだな。普通のゲームだと話が進行して後々たどり着く町はだんだん豪華になっていくけど、リンダリングではそうでもないみたい。そりゃあ城とかの方がおっきいだろうけど。 トルデッテは中央に「伯爵の館」があって、そこから十字に道がのびている。館から北へのびているのがガラハドール通りだな。西へのびている道に武器屋防具屋道具屋が、東へのびる道がその他の施設、南が一般住居みたい。一般住居の方に宿屋がある。 「宿屋! 私、宿屋に泊まりたい!!」 ノアが突然主張しだした。 「あ、うん、そうだね。MP回復させないといけないしね。私たちは薬草で回復すればいいから……て、薬草がないぃ!!」 「とっくの昔に使い切ってたんだよ……アイテム補充しないと外に出れないな」 「ちょっと待って、あのさ、今の私たちの状態……」 |
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「はっきり言いたくないんだけど」 「できれば言って欲しくないけど」 シロウをにらんで言う。 「……貧乏、なんじゃない!?」 |
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かなり稼いだはずなのだ、私たち。でも、そうだ、教会に捧げたあの金のせいでいきなり持ち金が半分になってしまったんだ! 「あとシロウの弁償代に使った50ゴールドもあったわよね」 ノアが鬼の記憶力を発揮し、シロウはぐぅの音もでない。むしろ出せるのはぐぅの音のみといったところか。 「んで薬草買うでしょ……武器とか、補充するでしょ」 「武器じゃなくて防具にした方がいい……」 モンタがいきなり登場した。 「サラとノアはさしあたって武器を必要としていない。シロウの剣はなかなか高いものだから、買い換える必要はない。一度点検に出した方がいいとは思うが」 ……武器はいつか壊れてしまうものなので、ちゃんと手入れしないとダメなのだ。自分で手入れはできない。ちゃんと武器屋の中の鍛冶屋にみせないと。あああなんてややこしいゲームなんだろう。 「どちらかというと防御力を高めておいた方がいい」 「そうよね、そういや武闘家ってあんまり武器を必要としてないのよね。よかったぁ私武闘家で!」 「新しい杖欲しい……」 呟いているのは無視することにした。 「装備の充実、これももちろんなんだけど、あと大事なこと忘れてるわ」 「え、なに?」 シロウが目を丸くするのに指を突きつけた。 「あんたの呪いよ! 呪いを解く方法をみつけないといけないのよ。一体私たちどこに行って相談すればいいわけ? ちょっとバッチョ! あんたたまには役に立つアドバイスのひとつもよこしたらどうなのさ」 ブーンと飛んでいる場合ではないというに。バッチョは私の頭の上に戻ってきた。 「ンー、これといって役に立つアドバイスは思いつかな」 無言でぎゅっと握るとバッチョは慌てて言い足した。 「とりあえず暗黒教会に行ってみたらどうでしょうか、なんて思うわけですが」 「暗黒教会!?」 「あ、ダンジョンとかじゃないですよ、悪神信仰の者たちにとっての教会のことですぅ……」 カンナが説明をつづけてくれた。 「シロウさんは悪神信仰ですから、そちらに相談すればいいアドバイスがもらえるかも知れません……」 難問づみだけどとりあえず、藁でもつかんでみるか! という状態だった。 すぐに私たちはマップで神殿の位置を確認し、向かうことにした。 |