イベント2 淑女は眠る、イバラの中 |
2−20 トルデッテ城の戦い! |
私たちは城に向かって走った。 にわか門番がいやしないか一瞬ものすごく心配したけど、いなかった。いや、もちろんシャーリーのそばにいるんだろう。戦闘……になるんだろうか。 「ねぇ、宝玉、もし取られたらどうなんだろ!?」 「アリーゼがちゃんと目覚めることができないとか。ジャンが言ってたじゃない。夢を奪われて死んだも同然になる、とか」 「ううう、それは絶対ここまできて許されない〜〜!!」 走った。 「何事です!」 執事のイシューさんが出てきて、私たちを見て目を丸くした。もめごとは……と叫ぼうとした彼をおさえたのは、クラリーネ夫人の一喝だった。 「イシュー、準備なさい。……戦争です! オパール団を、壊滅させますよ!!」 執事はぽかんとした。そして、満面に笑みを浮かべて胸に手を当て静かな一礼を返す。 「承知いたしました、奥様」 城は三階まで。中央階段をのぼっていこうとすると、上にシャーリーが立っていた。 「ほほほほ、ここまで来たの、諦めの悪い子供たちね!」 シャーリーは右手のオパールをひらめかせた。 「地獄のそこの釜よ開きてその臓物をぶちまけよ!! よみがえれ死人ども!!」 どっわあぁぁぁ! と悲鳴を上げたのはシロウだけ。廊下からぽこぽことゾンビが生えてきたのはどーゆーシステムかとはげ上がるほど問いつめたいけど、廊下が動くんだもの、ゾンビも生えるわさ。そう考えたい。 「破邪!」 そしてすかさずセーラさんが僧侶の法力を発揮した。神々の加護により、まがまがしいものたちが消えていく! 「わぁ、素晴らしいな神って!」 なんて喜んでるシロウ君には思い切りつっこみたい。 お前悪神信仰だろ、と。 |
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ウィンドウが立ち上がった。 180、と数字。1ずつ減っていく。そうか、0になるまでにアリーゼのお父さんのところにたどり着かないとゲームオーバーってわけね! ……オーバーなって、どこまで話が戻るのか……そもそもこのイベント自体失敗、ということになるのか……後ろ向きなことは考えない、いつだって前を向いてゾンビを撃破! そんな生き様でゴーだ! 「た、ぁぁぁぁ!!」 「ファイアー!」 ところどころ要所で強いモンスターが現れる。一度は牛頭人身のミノタウロスが現れた。よだれを撒き散らす、ものすごい気持ち悪い敵。なんというか嫌い。一目で大嫌いになった。 レベル違いすぎるよな、と考えたときだった。 「お行きなさい」 と、イシューさんが後ろから飛び出た。そのままミノタウロスに襲いかかっていく。ものすごい強さであることはその動きで分かった。前のイベントで、すごく強いゾンビと会ったけど……あまり差が感じられない。残って一緒に戦う必要はまるでなかった。 階段を上っていく。 そして三階中央、豪華な扉を開いて向こうに行こうとするシャーリーと門番二人。 「待てぇぇ!」 追いすがり、叫ぶ。するとシャーリーは床に蛇を叩きつけた。そこから沼が広がってく。 「毒の沼よ、止まりなさい!」 セーラさんが叫んだ。 「一歩でも進むと体力を奪われるわ。二歩進むと死ぬわね」 「…………どうすれば?」 セーラさんは杖を構えた。 「ここで、ずっと回復魔法を唱え続けるわ。体力が減ってもそのたびに回復する」 教会でやってた、あれね。 「でもそうすると私はここから動けなくなります。あなたたち、戦闘は大丈夫ね? もしかしたらこの、リンリンベルを必要としているかしら……?」 懐から出されたのは、見覚えのあるベル。 アレは……ゴースト屋敷で、エチゴヤたちを呼び出した鐘だ。司祭とか商人とかを呼び出せて、アイテムも買える。でも、料金は割高。ふと見ると床に体力回復の円陣がある。 そうだよね。うん、そうだよね。でもこんなときに興をそぐなぁ、なんて思いつつもこれは大事だよね。でもとりあえず…… 「今のところ困ってないよね」 「うん。薬草……あるし。さっきの戦闘でお金入ったけど、でもねぇ」 「武器買う?」 「足りないと思う。んじゃ……とりあえず今回はお助けベル使うのはやめとこうか」 「あ、そういうことになりましたんで」 とお願いするとセーラさんは杖を構え、目を閉じた。クラリーネ夫人はその隣に立つ。 「ありがとう、冒険者たち。これは使ってください」 とアイテムをくれた。それも「ハッスル剤」×3。アリーゼはノアがもっていた。 「行くよー!」 私たちは沼を踏んだ。 相談してたせいで数字が180から21まで減っていた。やばいやばい…… |
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そして、私たちは部屋に飛び込んでいった。 今まさに伯爵の手を開こうとしている三人組!! 「待ちなさい!」 「そこまでよ!」 「………動くな!」 私たちは指を突きつけて叫んだ。(シロウがやや台詞に悩んでたけど) シャーリーが髪をかきあげながら私たちの前に立ちはだかる。 「私たち邪のオパール団……止められると思うなら止めてごらんなさい、その力で!!」 |