「防具のぞいてみようか!」
というわけで、防具の売ってるあたりに行ってみることにした。
基本的にこの町には人が少ないんだけど、たまにレベルの高そうな冒険者とすれ違う。
「ドラゴンのダンジョンー? ああ、知ってる。虹の洞窟のことでしょ?
虹の洞窟のことなら、酒場に行けば分かると思うわ」
と、すごい剣をもった一人旅の女戦士に教えて貰っちゃった。酒場ね、後で行こう。
「いらっしゃいまーせー。
リストはこちらですよ。じっくりお選びくださいー」 |
『桃色のネコ』店の品物 |
鋼の鎧 |
1200G |
固い鎧! |
虹色の鎧 |
10000G |
輝く鎧でかっこよさもアップ! |
風の帽子 |
700G |
風の魔法に対する耐性高め |
夢見る盾 |
1200G |
防御力高め。でも時々眠ってしまいます |
三本刃の盾 |
5000G |
モンスターの攻撃を防ぐと同時にカウンター攻撃! |
毛糸の靴下 |
500G |
あったかいです |
ネコのマント |
800G |
ネコ耳フード付き。可愛いですよ |
特売品 |
|
|
品切れ中! |
|
「わあ珍しい、魔法使い用の防具も売ってるよ!」
魔法使いは防具関係冷遇されてて、あんまり売ってないのだ。だいたいアイテムで守備力を強化するのだけど。
他の店と比べても、その店のものがレベル的にもお値段的にも私たちにはちょうど良かった。
「うーん……シロウに鋼の鎧、ノアにネコのマント……かな」
虹色の鎧ってのもかっこよさげだけど、10000じゃねえ。デザインもなんか、派手だし。色も、見ててまぶしくなってくるし。
「サラ、毛糸の靴下買っておきなさいよ」
「えー。……まあ、いいか」
防具を補充。今までの防具を売り払い、新しいのを装備した。 |
*******
|
「そうだー、教会に行ってみない?」
「その前に酒場じゃないか?」
シロウのつっこみはもっともだったけど、酒場は夜にならないと開かないらしかった。そのまま町の西部にある教会に。
この町の教会はなんとも派手な造りをしていた。それに大きい。悪神教会の倍はあるんじゃなかろうか。
「…………」
入り口の所に立ってる神父さんが、なんとも怪しげにじろじろ私たちを見ていた。
「あああっと、シロウはストップ! 外で待っててね」
止めると、シロウははっと身体の動きを止めた。
あぶないあぶない。ここで呪いの重ねがけなんて、シャレになんない。
「じゃあ俺は適当に町をふらついて、情報収集してるよ」
とシロウはツボを背負ったまま行ってしまった。
「子羊たちよ、なにか悩みでもお持ちかな?」
その教会を任されていたのは、ぎらんぎらんにあぶらぎった神父だった。聖職者なのにあきんどみたいな雰囲気がある。帽子は金色、そして胸に光る十字架には宝石がずらりと並んでいる。
「私は神父のマイヤーです。
なにかあれば、お力になりますぞ。おっと、地図の限定解除などはいかがかな?」
ノアと顔を見合わせた。そうだ、そういうのもあったわね。
……そして私は地図をなくしていることを思い出してブルーになった。あのぬすっと見つけたら、ただじゃおかない。すまきにしてさしみにして石焼きいもにして穴に埋めて上に月桂樹を埋めてやるんだから。
「えーと、どれくらいかかるんです?」
怪しんだノアが質問すると。
マイヤーは
「おお、これは神の使徒としてなんと敬虔な。
たった500ゴールドで、神への敬愛を示すことができる……その機会を与えることができること、私は喜ばしく思います」
と胸を張った。
喜ばしかねえ。
「うーん、まあ、お願いします」
「そちらの方の地図は、いかがかね」
なんて気遣いをみせてくれたけど、気にしないで欲しいと言った。
「むうううううううん!! ぴかーーーーーーーーーーーー!!」
なんなのその叫びは。なんて問いかける暇もなく、地図の限定は解除されてしまった。
ノアの地図のレベルが上がり、今まで行ったことのない場所が示された。
なになに。えーと。
「虹の洞窟……だけしか増えてない」
殺意が沸いたけど、教会で刃傷沙汰もいかがなものかと思えたし、そういや私は武器をもってなかった。
「虹の洞窟は、なんかドラゴンがいそうな感じがするんだけどな」
「うん、そうだね。そのへんの情報も集めようか」
おーい、終わったかい、とシロウが戻ってきた。
「ミュンヒハウゼンの情報を集めてたんだけど。
なんかものすごく評判悪いよ。
一度屋敷に行ってみようか」
「入ることできるかな?」
「そんなの、入っちゃえばいいのよー」
ノアがけたけた笑っている。 |
*******
|
私たちの武器ができあがってる時間になったので、取りに行った。
町の中にいるとはいえ、武器がない状態ってのはなんか落ち着かないものだ。
「あ、いらっしゃい……取りに来てくれたんだね。
お嬢さんのドラゴンナックルはこれ。お兄さんの剣は……ほら、これだあ!!」
武器屋さんはどーんと効果音つきでシロウに武器を手渡してくれた。
「おおっ、これは!」
輝きが違う!
すごい。なんか、新しいのを買ったみたい!!
「お兄さん運が良かったねえ。
ランダムで、剣に特殊な効果がつくんだけどね。千分の一くらいの確率で。この剣、クリティカルが出る確率が高まったよ!」
シロウは嬉しげに剣を受け取った。
「うわー、剣の名前も変わったよ。
『サンダーソード』だって! いかづちみたいにするどい攻撃を繰り出す、だって。
嬉しいなあ! ありがとうございます!!」
シロウは満面の笑みでお礼を言う。おじさんはいいってことよ、とシロウの肩を叩いた。
ちぇー、私のドラゴンナックルはそういう効果、つかなかったのか。ちぇー。
見るとノアが不安げな様子だった。
「どうしたの? ノア」
「……不吉だわ」
「え?」
「どうしたんだい、ノア」
とシロウも振り返る。
するとノアは、
「シロウにラッキーなことがあるなんて!!
これは絶対、悪いことの前ぶれだわっっ!!」
「なんでだよ!!」
とシロウは全力でツッコミを入れていたけど。
ごめんシロウ。私、否定できない。 |